シーグ
シーグ(Shigu)とは、タトラ砂漠やアスタナ平原などを含んだ広範囲に及ぶ惑星タル北部の地域。語源は「シグ(Sieg)」で、「シーグ(Shigu)」はゴールドリング語による表記及び発音。大まかに北方の地として参照されることもある。
レイン将軍が台頭してからはこの地域全土が統一化され、正式に軍事国家「シーグ王国」として立国。
戦後のシーグ王国崩壊後、再建・復興してからは「シーグ公国」として発展・繁栄する。
歴史的な変動が非常に大きく、レイン将軍による統一前の原始的・伝統的な暮らしの時代(大まかに戦前とする)、レインによる統一後から戦争開始・終了までのシーグ王国としての時代、戦後から近代に至るシーグ公国としての時代とで大きく三段階に分けることが出来る。
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名称
語源となっている「シグ(Sieg)」とは古シーグ語ことシグ語で「サーガル」そのものを示す言葉(サーガルという種族の古代名)であり、同時にシグ語を使う原始的なサーガル達の間で「我々」を意味する言葉でもある。
今日における「シーグ(Shigu)」という名称および発音は惑星タルの公用語であるゴールドリング語における表法で、これが正式名として定まったのはシーグ王国としての立国以降。
戦前
レイン暦16年までの、レイン将軍による北方全土統一が起こる以前の時代。国としての区切りは存在していなかったため、大まかに北方の地域全体の暮らしとして記述する。
全体的に文明化されておらず、人が住める場所に集落や村、部族の集まりなどが点在し、タリクシアン植生の原生林や原生生物と隣り合わせな環境の下、狩りと宗教が中心の原始的な生活を長く続けていた。
部族やクランのタイプによって生活様式は異なるが、大凡みな形式立っており、動物のように毎日同じような生活を繰り返していた。
言葉や文字が全く発達していないことや、国では無いため明確な法や規則などは存在せず、アニミズムに基づく自然信仰に沿い自然界の掟そのものをルールとし、多くの場合暗黙の了解や野生動物のような「言わずともわかる共通認識」で意思疎通する。
住民
大多数がサーガルであるため、「北方の人」と称した場合はサーガルの前提で扱う。
アグドナは極少数存在していたが、数の少なさや、また彼らと取引できるサーガルが限られていたため、南方や東方と違い大規模な文明的発展を起こすに至っていなかった。
言語
言葉の数は非常に少なく、多くの人々は流暢に喋ることが出来ない。
最も言葉をある程度使えるのは後述する呪術師のクランだが、それ以外の多くは動物的な鳴き声やボディランゲージ、暗黙の了解などで意思疎通する。喋ったとしても相当なカタコトで、ほぼ単語だけで喋るような様子。
書き文字に至っては完全に呪術師のクランのみが使える特別な要素として扱われる。
言葉や文字全般を扱う事自体が呪術師にしか行えない、呪術的意味合いを持つ特殊能力のような扱いで、発音のはっきりした人間的な言葉にはそれ自体に特別な力が宿るものと考えられている。
氏名
前述した通り言葉を扱うこと自体が使える者が限られた特殊な行いであるため、呪術師による「名づけの術」(後述)が無ければ個人名を持つことすら出来ない。
個人名を持たない者達は外見の特徴や役割からすぐ分かる簡単な渾名のようなもので呼ばれる。(例:耳が無ければ「耳欠け」、棒を武器として使うなら「棒持ち」など。)
クラン
戦前までの北方サーガル達は主に三種類のクラン(集団・部族)に分類され、クランに応じて暮らしぶりや役割、能力、そして食事さえもが異なる。
勇士のクラン
狼の骨を持った勇士を中心とした戦士達のクラン。ブレイブクラン(Brave Clan)とも。
「勇士」とされる立ち位置には群れの中の勇敢な者や強い者がなれる。勇士がいると群れが一つにまとまり、バラバラになりにくくなる。
言葉はほぼ使えないが、生物について良く知っており、優れた直感的センスで狩り・生活の目的や方針を決める。
生物の骨で作った鎧を身に纏い、レインのように赤い入れ墨を顔や体に入れ、目立つ装いをする。
森に敬意を持っており、狼の縄張りである森を直接荒らすことはあまりしない。
荒野で巨大な獣を追い、勇敢に集団で戦って打ち倒す。獲物のほとんどは彼らを狙って戦いを挑んできた大型の獣。食事に関する詳細:シーグの食物 - 勇士のクラン
獲物や資源を求めて、日々目的を持って移動する。
呪術師のクラン
修行の証である印鑑を持ち、「名前」を操る呪術師を中心としたクラン。シャーマンクラン(Shaman Clan)とも。
生物知識に長け、「名づけ」の術を使う事で、瘴気に取り込まれずに正体を解き明かす。森に畏怖を持っており、狼を信仰している。
言葉や文字を扱う事が呪術師にとって欠かせない能力であるため、ある程度言葉を話せる。しかし元々の北部の言葉の数の少なさのため非常に流暢とまではいかない。
群れにアグドナが居ることが多い・または取引可能なため、やや凝った服や武器を手に入れることも出来、家や集落が他のクランよりも大きめ。
総合的には文明化前のサーガルの中では一番文明的な人々とも言える。
食べ物の種類も多く、危険の処理に優れているため資源の豊富な森に直接入り、肉性の植物を直接採取したり種子や小動物を持ち帰って家畜化する事で生活をしている。食事に関する詳細:シーグの食物 - 呪術師のクラン
イマゴイなどの特殊なアイテムを使うことで瘴気溢れる森とも一体化し、更に神秘的な力を得ると言われる。
定まった地域に定着し、その集落や群れから動かないことが多い。
名づけの術
呪術師のみが扱える特別な呪術・または儀式。
個人、動物、部族に正式な「名前」を与えることによって、自我をはっきりさせたり、正体を確固とさせることによって、恐怖を軽減させるなどの効果を齎す。
呪術師ごとに力のランクがあり、より能力を高めるには危険を伴う祠への拝礼や、祠で紋章を得る必要がある。
未熟な呪術師は動物的な鳴き声が抜けきっていない言葉で名づけの術を行うことがあるが、これは非常に危険な副作用あるいは逆効果等何らかの悪影響を齎すとされる。
シグのクラン
古シーグ語で「サーガル(我々)」を表す言葉「シグ(Sieg)」がそのまま名前となっているが、実際には確固たるリーダーや名前を持たない、所属の無いローカルな部族が全てこれに相当する。最も原始的なサーガルの集団であるとも言える。
基本的に、獣や森に対抗する手段を持たない、臆病で弱い人々の集まり。勇士や呪術師の人々と違って特別な能力等を何も持たず、動物のようにその日暮らしな生活を送っている。
言葉は全くと言っていいほど扱えない。話したとしても非常にカタコト。
服装や武器も多くなく単純で、質素な布を身にまとっていたり、棒を振り回すなどの簡単なものが多い。
森からはずれた場所にある小枝や、荒野を走り回る虫や小動物を食べて暮らしている。食事に関する詳細:シーグの食物 - シグのクラン
日々その場で丸まっているか、目的を持たずにうろうろと宛もなく移動していることが多い。
全体的な弱さ故に死亡率が非常に高い。その分性成熟するまでの年齢も全サーガルの中で最も早いが、多くは高齢に達することなく、野生生物等に襲われて死ぬとされる。
稀に恐怖以上に好奇心が非常に強い個体が産まれることがあり、そのような者の死亡率は更に高いが、運が良ければ勇士や呪術師のクランなどの力のある群れに遭遇してそのまま加わることが出来る。
シーグ王国時代
レイン暦16年頃、それまで国というものが存在しなかった北部の地をレイン将軍が全体を統一し政治支配を開始、王制と共に立国した軍事国家。
住民
旧来の北方サーガル達や元々北に居た極少数のアグドナに加えて、奴隷として連れて来られた東部の人々も大勢いる。特に技術奴隷としての東部アグドナが多い。
サーガル以外の種族の多くは労働者や奴隷として扱われ、戦闘員には採用されない。技術奴隷の待遇は良いが、農民はいわゆる「農奴」状態で酷い扱いを受けていた。
文化
前述した北部における言葉や文字の少なさ、使える者が極度に限られた状況が残っているため、北部原住民の者はやはり流暢に喋れず、文字を扱う事が出来ないことが多い。
東部から連れてきた奴隷達の影響によって若干言葉の使用率は上がるが、それでも多くの者は『シーグの暗雲』に登場する北方兵士二人組のようにほぼ動物的鳴き声でやり取りする。レインやリーリックも最初の段階では言葉を殆ど使えなかった。
呪術師の者達は引き続きシーグ軍内で兵士達に勇気を与え恐怖を振り払う呪術をかけていたとされるが、未熟な呪術師の場合、かけられた者は武装した人や興奮した人々が全て怪物に見えるような幻覚状態にしばしば陥る。『シーグの暗雲』の北方兵士二人組はそのような未熟な術にかかっていたため、一般市民であるイージェを怪物と見間違えて攻撃、殺害した。
経済
収入の殆どは他の地からの略奪に頼っており、レインは他の領土を奪うことに執着しているため、原生生物を狩猟し生活資源を得るという考えが全く眼中にない。(※余談ではあるが原生生物は不思議とレイン将軍のいる地域を避けて通るらしい)
レインも若い頃は狩猟をしていたが、略奪頼りになってから徐々に行わなくなり、王朝末期になると農奴に無理を言って食糧を作らせていた。
最終的には生活資源などは軍事関係に集中し過ぎて収入の全てが略奪に依存し、制圧する場所が無くなって内政崩壊する。
軍事や技術
シーグ王国にいるサーガル以外の種族は労働者扱いが殆どであるため、戦闘員はサーガルに限られる。(もしネウリアが戦闘員に含まれていたらゴールドリング侵略は成功していた)
それまで東部で流通していた技術の略奪や、連れてきた技術奴隷達に専門的な研究をさせたため、軍事技術に関してのみ局所的に異様なほど発展を遂げた。
特に技術奴隷としての東部アグドナの職人達によって東部サーガル鎧を徹底的に改良し、純戦闘用の鎧を作り上げたものが「サーガル鎧」の完成形として一般的によく知られるようになる。
アグドナの他は、一部の生物研究家サーガルも宮仕えの学者として徴用される。
軍には親衛隊が存在し、隊長は参謀の「カッド」と突撃隊長の「リーリック」。
戦争による興亡
戦争開始時、まず東部のレオノを制圧し、その後軍を二手に分けて北西部ベトラ地方とゴールドリングを攻める。
北西部は大規模な略奪と虐殺に遭い西方サーガルはほぼ全滅し、北西部の文化は壊滅する。
ゴールドリングへの第一回遠征は制圧したレオノの地を足掛かりとして行われるが、GR自警団側が水路や入り組んだ建物、高台など地の利を生かした抵抗を行い、失敗に終わる。またゴールドリングをめぐる戦いの渦中でリーリックが戦死する。
その後ゴールドリング遠征は10年に渡って行われるがすべて失敗に終わる。
シーグだけではなく、流通網が徹底的に破壊されるため、ゴールドリングも打撃を受け、生物資源が高騰し、生きる力を失った人々が原生生物に喰われる、野垂れ死にするなどで、タル全土が疲弊し全人口の3分の2が失われる。北部・東部・西部の人口減少が特に著しい。
シーグ王朝末期から崩壊後にかけては、伝統的な生活に回帰していく者、レオノを再建しようとする者、ゴールドリングに移住する者に分かれる。
戦争終結後しばらくしてシーグ王国は「シーグ公国」として復興し発展する。これはサーガルが基本的に恨みを強く持たない性質のため、かつてシーグ軍であった者達にも快く協力を差し伸べたためである。
シーグ公国時代
レイン暦40年頃の世界大戦終結後、再建・復興してからのシーグ。
戦中に収奪した技術奴隷や軍事技術などのテクノロジーが大いに活かされ、復興に協力したレオノの人々の力もあってゴールドリングに次ぐ大都市へ発展する。
近代にかけては「南のゴールドリング、北のシーグ公国」と言える形でタルの二大都市として繁栄する。
住民
都市としての文明的発展やグローバル化に伴い、戦後のゴールドリング同様に様々な種族の人々がいる。
文化
これまで長い間未開の地であった北方の姿とは打って変わって、文明的な技術や娯楽が溢れ、教育制度の普及によって言葉や文字を流暢に扱える人々も多く存在するようになる。
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