シグ
シグ(Sieg)とはとはシグ語で「サーガル」を示す言葉、およびサーガルという種族の古代名。同時にシグ語を使う原始的なサーガル達の間で「我々、私」を意味する言葉。
種族名としての「サーガル」という名称はゴールドリング語による公称であり、口語においては「サーガル」と称した場合は近代における文化的な生活様式を行う者達を、「シグ」と称した場合は古代において原始的な生活様式を送っていた者達を示す。
北部においては長きに渡って原始的な生活様式が続いていた為、シーグ王国立国以前の北方サーガルをまとめて「シグ」と称す場合もある。
場所としてのシーグの語源でもあり、「シーグ」という名称および発音もゴールドリング語における表法。
当記事ではサーガルの原始的・伝統的な生活様式について述べる。
北部のシグ
レイン暦16年頃にレイン将軍による北方全土統一が起こるまで、全体的に文明化されていない北部の地で暮らしていた。
人が住める場所に集落や村、部族の集まりなどが点在し、タリクシアン植生の原生林や、そこに犇めく野生生物と隣り合わせな環境の下、狩りと宗教が中心の原始的な生活を送っていた。
部族やクランのタイプによって生活様式は異なるが、大凡みな形式立っており、動物のように毎日同じような生活を繰り返していた。
言葉や文字が全く発達していないことや、国では無いため明確な法や規則などは存在せず、アニミズムに基づく自然信仰に沿い自然界の掟そのものをルールとし、多くの場合暗黙の了解や野生動物のような「言わずともわかる共通認識」で意思疎通する。
言語
言葉の数は非常に少なく、多くの人々は流暢に喋ることが出来ない。
言葉の扱いを最も得意とするのは後述する呪術師のクランだが、それ以外の多くは動物的な鳴き声やボディランゲージ、暗黙の了解などで意思疎通する場合が多い。 言葉による意思疎通は個人の能力に強く依存し、ある程度の会話が可能な者から全く言葉を扱えない者まで落差が非常に大きい。
書き文字に至っては呪術師のクランのみが使える特別な要素として扱われる。 言葉や文字全般を扱う事自体が呪術師にしか行えない、呪術的意味合いを持つ特殊能力のような扱いで、発音のはっきりした人間的な言葉にはそれ自体に特別な力が宿るものと考えられている。
氏名
前述した通り言葉の扱いは使える者が限られた特殊な行いであるため、呪術師による「名づけの術」(後述)が無ければ個人名を持つことすら出来ない。
個人名を持たない者達は外見の特徴や役割からすぐ分かる簡単な渾名のようなもので呼ばれる。例として耳が無ければ「耳欠け」、棒を武器として使うなら「棒持ち」など。
クラン
主に三種類のクラン(集団・部族)に分類され、クランに応じて暮らしぶりや役割、能力、食事の質が異なる。
勇士のクラン
狼の骨を持った勇士を中心とした戦士達のクラン。ブレイブクラン(Brave Clan)とも。
「勇士」とされる立ち位置には群れの中の勇敢な者や強い者がなれる。勇士の存在は群れを一つにまとめ、散り散りになりにくくする働きがある。
言葉はほぼ使えないが、生物について熟知しており、優れた直感的センスで狩り・生活の目的や方針を決める。
生物の骨で作った鎧を身に纏い、レインのように赤い入れ墨を顔や体に入れ、目立つ装いをする。
森に敬意を持っており、狼の縄張りである森を直接荒らすことはあまりしない。
荒野で巨大な獣を追い、勇敢に集団で戦って打ち倒す。獲物のほとんどは彼らを狙って戦いを挑んできた大型の獣。食事に関する詳細:シーグの食物 - 勇士のクラン
獲物や資源を求めて、日々目的を持って移動する。
呪術師のクラン
修行の証である印鑑を持ち、「名前」を操る呪術師を中心としたクラン。シャーマンクラン(Shaman Clan)とも。
生物知識に長け、「名づけ」の術を使う事で、瘴気に取り込まれずに正体を解き明かす。勇士のクランに同じく森に畏怖を持っており、狼を信仰する。
言葉や文字を扱う事は呪術師にとって欠かせない能力であるため、戦前の北方サーガルの中では流暢に言葉を扱える者が多い。しかし北部の元来の言葉の数の少なさのため、ゴールドリング出身の者の域には達しない。
群れにアグドナが居ることが多い・または取引可能なため、やや凝った服や武器を手に入れることも出来、家や集落が他のクランよりも大きめ。
総合的には文明化前のサーガルの中では最も文明的な人々と言える。
食べ物の種類も多く、危険の処理に優れているため資源の豊富な森に直接入り、肉性の植物を直接採取したり種子や小動物を持ち帰って家畜化する事で生活をしている。食事に関する詳細:シーグの食物 - 呪術師のクラン
イマゴイなどの特殊なアイテムを使うことで瘴気溢れる森とも一体化し、更に神秘的な力を得ると言われる。
定まった地域に定着し、その集落や群れから動かないことが多い。
名づけの術
呪術師のみが扱える特別な呪術・または儀式。
個人、動物、部族に正式な「名前」を与えることによって、自我をはっきりさせたり、正体を確固とさせることによって、恐怖を軽減させるなどの効果を齎す。
呪術師ごとに力のランクがあり、より能力を高めるには危険を伴う祠への拝礼や、祠で紋章を得る必要がある。
未熟な呪術師は動物的な鳴き声が抜けきっていない言葉で名づけの術を行うことがあるが、これは非常に危険な副作用あるいは逆効果等何らかの悪影響を齎すとされる。
シグのクラン
古シーグ語ことシグ語で「サーガル(我々、私)」を表す言葉「シグ(Sieg)」がそのまま名前となっているが、クランの分類として使われる場合は確固たるリーダーや名前を持たない、所属の無いローカルな部族が全てこれに相当する。最も原始的なサーガルの集団であるとも言える。
基本的に、獣や森に対抗する手段を持たない、臆病で弱い人々の集まり。勇士や呪術師の人々と違って特別な能力等を何も持たず、動物のようにその日暮らしな生活を送っている。
言葉は全くと言っていいほど扱えない。話したとしても非常にカタコト。
服装や武器も多くなく単純で、質素な布を身にまとっていたり、棒を振り回すなどの簡単なものが多い。
森からはずれた場所にある小枝や、荒野を走り回る虫や小動物を食べて暮らしている。食事に関する詳細:シーグの食物 - シグのクラン
日々その場で丸まっているか、目的を持たずにうろうろと宛もなく移動していることが多い。
全体的な弱さ故に死亡率が非常に高い。その分性成熟するまでの年齢も全サーガルの中で最も早いが、多くは高齢に達することなく、野生生物等に襲われて死ぬとされる。
稀に恐怖以上に好奇心が非常に強い個体が産まれることがあり、そのような者の死亡率は更に高いが、運が良ければ勇士や呪術師のクランなどの力のある群れに遭遇してそのまま加わることが出来る。
南部のシグ
執筆中