ネブリャン
ネブリャン/ネヴリャン(Nevrean)とは、鳥または羽毛恐竜に似た姿を持つエルタス人。女性はより恐竜に近く、男性は鳥に近い姿をしている。惑星タルにおいて「人間」として認識される知的生命体、エルタス三種族の一つ。
小柄な体躯と、女性と男性で別種と考えられるほど目立った性差を特徴とする。女性は地味だが骨太で仕事や戦いに向いた性質、男性は色彩鮮やかな羽毛と華奢な体で娯楽や芸能に向いた性質を持つ。男女で明確な役割の違いがあり、ドワーフのような女性と、妖精のような男性に特徴付けられる様々な様式をもつ。
卵生で、ヘソ、乳房、授乳機能は存在しない。エルタス人の中では唯一卵を産む種族。
惑星タル西部、ネブリャ地方に位置するネブ山脈を起源とし、ゴールドリングへはレイン歴33年以降に独特の文化様式を携えて進出。移住当初からしばらくは完全なる新人種の扱いであったため、長らく不平等な扱いを受けてきたが、レイン歴70年頃に正式に「第三の人種」として迎えられることとなる。
故郷ネブリャ地方は外界からほぼ隔絶された文化圏であるため、サーガル・アグドナ文化圏への参加によって都会のネブリャン達は原住民ネブリャン達と比べると全くの別文明と言えるほどの変遷を遂げる。
女性ネブリャンでは矢桐ゆん、男性ネブリャンでは冠窮太朗が名のある公式キャラクター。
ネット上においてしばしば「男女の性差が逆転した種族」として説明されることがあるが、この解釈は正確ではない。ネブリャンは独自の性の在り方を持つが、それは人間および哺乳類が持つ性質や構造とは根本的に異なっており、単純な「男女差が逆」という説明には大きな語弊がある。
男女の指の数に違いがあり、男性は3本女性は4本。男性の第4指趾は翼の一部となっている。この設定は過去に一度変更され男女ともに指の数は4本とされた時期がある(2021年まで)。
概要
他のエルタス人よりも小柄で華奢な体躯、そして性差に因んだ独特の行動様式を特徴とする。子供の頃は男女共にほとんど同じ姿と性質を持っているが、思春期を過ぎると明瞭な性差が現れる。
成人した男女はほぼ対極にあたる性質を持つが、それぞれ陰陽のように噛み合い、特徴的な二面性を持った種族と言える。
女性 | 男性 | |
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外見 | 恐竜のような屈強な風貌と、控えめな彩度の羽毛を持つ。 | 鳥のような繊細な風貌と、美しい彩度の羽毛を持つ。 |
体格 | 骨が強く、丈夫な体つきを持つ。 | 骨が脆く、華奢な体つきを持つ。 |
得意分野 | 戦闘や事務など肉体的な強さや実用性を求められる仕事全般。 | 芸能、娯楽など華やかさや創作的な発想を求められる仕事全般。 |
性格 | 現実的思考、真面目で堅実、口が堅く受動的。閉塞的な性質。 | 創作的思考、陽気で夢見がち、口が軽く能動的。開放的な性質。 |
飛行能力 | 成人後は飛行、滑空共に不可能。代わりに走りに優れる。 | 滑空が可能。より軽い個人なら飛行も可能。 |
象徴的要素 | 「影」、「地」、「陰」 | 「光」、「天」、「陽」 |
故郷ネブリャでは他のエルタス人とは大きく異なる文化的作法を持ち、代表例では古来より続く男性のみによって構成される華やかで独特な歌劇文化、男性同士の恋愛を軸として据えた恋愛文化がある。恋愛は生殖とは完全に区別されており、社会活動の中核を成している。ゴールドリングに移住した者は他の種族の影響を受けたため、様々な形で性の文化が変化している。
レイン歴33年以降、ゴールドリングに迎えられる過程で経験した様々な困難はその後新しいスタイルも生み出し、レイン歴80年以降はエルタスの文化はネブリャン無しでは語り尽くせないほど一般的となる。 幻想的で陽気、華やかな男性に対して、女性は器用さや堅実さを生かしてエルタスの技術革新に欠かせない存在となる。
レイン歴70年に第三の人種として認められる以前は文化の異なるゴールドリングで適切に受け入れられず、長らく人種的に不平等な扱いを受けていた。特に女性達は強い偏見や不信を受け、貧困の窮状に陥り、窃盗や詐欺などの違法行為に手を染める者が頻出した。このように社会の輪からあぶれた者達がアウトリングに行き着き、盗賊団を組んで都市部周辺のキャラバン隊を襲撃するなど大規模な事件も多く引き起こし、歴史的な社会問題となった。
一方で男性達は持ち前の可憐な容姿と口達者な性格から比較的安易に受け入れられたが、確実な稼ぎ口として性風俗に就く者が多かったため、快楽の為の捌け口や愛玩動物のような扱いを受けることが多く、こちらもまた本当の意味で人間扱いされていなかったと言える。
姿や性格などがそれぞれの性別のスタンダードから逸れている個人、ネブリャンの基準から見て例外的な存在に対する扱いは居住区の文化によって異なるが、周囲によってカバーされることも、本人の能力や努力次第で立場を得ることもある。
活動地域
戦前まではネブリャ地方(ネブ山脈およびベトラの一部)以外の場所には一切存在しない。
ゴールドリングへは数年に一度の祭日等に限ってベトラ地方のネブリャンが西方サーガル達と共に、西方ベトラ音楽団として催しに訪れていた。その当時はネブリャンというと単に「催しの日に来る、美しい人々の多い歌劇団の人達」として知られているのみだった。
レイン歴33年以降に戦争の影響によりベトラ地方のネブリャン達が難民としてゴールドリングに流入、以降都会ネブリャンとして根付く。
レオノなど東部には元々一切存在せず、戦後のグローバル化以前で見かけることはまずない。
戦中のシーグにも西部侵攻時に略奪されたネブリャンが少数存在するが、当時のシーグ軍において戦闘員はサーガルに限られていたため、ネブリャンはアグドナと同様に戦闘にはほとんど関与していない。
女性
比較的屈強な風貌と、やや受動的かつ慎重な性質を併せ持つが個体差も大きい。原住民ネブリャンの伝統では「女性は寡黙であることが美徳とされ、特に理由もなく女性が男性に話しかけるのは失礼にあたる」という文化があるため、男性に比べて口数は少ない。しかしゴールドリングに定着した都会ネブリャンの間では性別問わず社交的であることをよしとするのが主流になりつつある。ゴールドリング流入当初は様々な理由によって他の種族から悪印象を受け、長らく不当な扱いを受けていた時期がある。
子供の頃は全身灰色の羽毛に長い翼を持ち、足の指の形が僅かに違うことを除いて男女ともにほぼ同じ姿と性質を持つ。女の子も男の子と同様に天真爛漫な性格をしており、飛行や滑空を得意とするが、思春期に達すると翼と飛行能力を失い、代わりに頑丈な体に育つ。成人した女性は社会的な立ち回りにおいて、子供時代とは大きく異なる、まっとうな大人としての役割を求められるようになる。
- 地に足の着いた女たち
成人したネブリャンには男女で明確な役割の違いがある。女性は集団の中では集団の中では肉体的な生活の維持を担当する。特に食糧調達や家事、外敵の排除など生命に直接かかわる肉体活動のほとんどを女性が行う。一般に思慮深く、寡黙であり、責任感が強い。仲間の生命に対する気配りも、それを脅かすあらゆる脅威への注意も怠らない。
- 頑丈な身体
女性は高密度の骨を持ち、頑丈な身体を特徴とする。飛行能力を失った代わり男性に比べフィジカルに優れる。ネブリャンは全般的に手先が器用であるが、住居の建設・修復といった土木作業からタリクシアン植生での資源調達、日常の家事に育児といった肉体労働の殆どを女性が行う。
- 寡黙な性格
口数少なく、見慣れないものや脅威に対して警戒心の強いネブリャンの女性だが、仲間と認めたものや交わした契約に対してはとても義理堅い。事実を重んじ、必要でない限り嘘はつかない。モノ・ヒト・組織などに対して欠けを補う思考の傾向を持っており、男性よりも受動的な行動決定を行う。観察力に優れ、徹底した実行主義者であり、言葉であまりものを語らない為、ほかの文化からは秘密を隠していると受け取られることもある。
- ネイティブの伝統歌劇文化における役割
ネブリャンの女性は、男性のように発達した声帯を持たず、その歌声にはメロディーらしきものがほとんどない。しかし音楽的才能がないわけではなく、原住民ネブリャンたちの音楽文化においては、嘴を鳴らしたり、楽器(特に打楽器)を作り歌劇の拍子(リズム)を取る観客兼黒子としての役割を担ってきた。
特徴の早見表
全体 | 恐竜寄り(主にドロマエオサウルス科の小型恐竜) |
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色 | 黒、灰、茶色などの地味な色のほか、彩度の低い色全般。ダルカラー。 |
尻尾の先 | 控え目な飾り羽根がある。目立つ模様は無い、またはあっても単純な模様や別の色が入る程度である。 |
体格 | 細い体躯だが、男性に比べて骨密度が高く、頑丈。特に走り回る者は下半身が筋肉質。 |
顔 | 鋭い目付きをしており、精悍な顔立ちを持つ。 |
背 | 平均150cmほど。 |
ツノ | 男性に比べて大きく、頑丈に見える。 |
牙 | 男性に比べて大きく、上顎の牙は口を閉じていても嘴からはみ出ることもある。 |
嘴 | 男性に比べて太く、がっしりしている。顎は噛み砕くことに特化しており、噛み付きの威力はエルタス人の中で最も強い。 |
脚 | 男性に比べて太く、強靭である。足の指にはデイノニクスやヴェロキラプトルなどの中型~小型恐竜が持つものに似た大きな鉤爪があり、強力な武器として機能する。 |
腕 | 子供の頃は長い翼を持つが、成人後には失い、痕跡として短い翼しか残らず、滑空・飛行共に不可能になる。 |
性格 | 基本的に真面目で堅実な性格をしているが、ワイルドな気性を秘めている。口が重く、慎重で現実的な思考を持つ。 |
声 | 男性よりも低い声。声帯はあまり発達しておらず、早口で喋ったり、歌うことは不得意。 |
役割 | 戦闘、狩り、護衛、家事、建築、管理など、体の強さや現実的な能力を求められる役割に適する。都会においては事務や法関係など、堅実さや秘密を守る性質が強く関わる仕事にも適する。 |
印象 | 感情含めた個人の情報や活動を必要以上に出さないことから、他の種族からは秘密を隠しているようで気味悪く見られ、不信感を抱かせやすい。ゴールドリング流入からしばらく、男性とは違う控えめな性質と、人目を大きく惹くものではない、地道な仕事を得意とすることが災いし、悪事を起こす者がいた場合にその事だけが注目され、ネブリャンの女性に対する悪印象や偏見が強く向けられた時期がある。 |
適職
原住民ネブリャンの文化では、成人した女性は食料の確保や住居と栄養の管理など、男性達や自分達の生命を維持するための肉体的な仕事に従事する。
ゴールドリングなどの都会では堅実さ、身体的な頑丈さ、手先の器用さ、身軽さ、慎重で実用的なものを好む性質などを活かした職に就くことが多い。
- 具体例:事務、銀行員、法関係、会計士、家事全般、農業、戦闘員、狩人、職人、大工、とび職、ボディーガード、帳簿管理、栄養管理等。
農業で得意なのは種撒き、雑草とり、収穫。誰でも出来ることではあるが、女性ネブリャンが行うと殊更仕事が早く、正確な結果を出せる。元来あまり他者と競い合わない性質であるため競争もせず、皆の生活に貢献できていることへの強い実感を重要としているため給与に関しても文句を言わない。
細かく数を数える事も得意で、不正を行わないため銀行員や帳簿管理も向いてる。総合的には足りないものを見つけ出す事に優れており、地道な仕事が多いため、なかなか評価されにくい能力の持ち主でもある。情報の扱いに関しては秘密を守り、事実を重んじる性質から、機密情報を扱うことに適している。
技能
古くより原住民ネブリャンの女性は故郷の山岳や断崖の難所に集落を築いてきたため、巧みな協働により非常に複雑堅固な家屋を様々な地形に建てることができる。
手の形の関係でアグドナよりも裁縫が得意で、小回りが利くため一から大きなものを作り上げるより、既にある仕組みの穴をつくろうのを得意とする。
手先の器用さは男女共に備えているが、特に女性の場合はより実用的なものを開発することを得意とする。
ネブリャン流入後のゴールドリング、特に他の種族と打ち解け親和するレイン歴70年以降は、アグドナの技術と共同することにより高度な発明品や日用品などが数多く開発され、飛躍的な技術進歩を齎した。
創作に関して
歌や音楽、演劇の娯楽に対しては通常「見る側」「聴く側」「楽しむ側」であり、「錆の輪」メンバーを除いては女性ネブリャンが娯楽に絡んだ創作活動を能動的に行うことは一般的ではない。
原住民ネブリャンの大合唱では女性も演奏に参加することもあるが、喉の構造も幅広く歌うことに適していないため、低音や打楽器による合いの手、作曲や構成がメインである。
男性ネブリャンとの関係
女性ネブリャンにとって保護するべき対象である傍ら、男性ネブリャン達の歌や演劇などの創作を楽しむことで自身も癒やされる。これらの要素が神経質な側面のある女性ネブリャンが悪の道に転じないためのストッパーになりえる。
例外的な女性
脚の鉤爪や角は稀に発達しないことがある。
本来、病弱な女性や戦闘能力の低い女性も協調により個人の力不足をカバーされるが、アウトリングの盗賊の間では屈強で狡猾なもののみが優遇されることが多い。
「錆の輪」ムーブメントに乗る者は羽根を男性のような派手な色に染め、奇抜なファッションに身を包む。
男性
都会の男性ネブリャンの商人の二人組、「プリレイ」と「キューズ」。華やかな翼を旗のように振るプリレイと、レイン将軍を模した帽子をかぶっておどけているキューズ。ひょうきんで、愛嬌のある仕草で集客を行おうとしている。
愛らしく華やかな風貌と、気楽で陽気な気質を併せ持つがこちらも個人差がある。一般的に話し好きで、口や行動に関して良くも悪くも思いつきの傾向がある。容姿も言動もいつまでも若々しく、夢見がちで、大人になってもそのような幼さは強く残ることもある。このように常にオープンな姿勢であるため、総合的には目立つ存在。お茶目で愛想が良く、人とのスキンシップを好み、人と打ち解けたり気を良くさせるのが得意で、印象がよく他の種族から好感を持たれやすい。
子供の頃は全身灰色の羽毛に長い翼を持ち、足の指の形が僅かに違うことを除いて男女ともにほぼ同じ姿と性質を持つ。思春期に達すると全身が色鮮やかな羽毛に生え変わるが、女性と違って長い翼と滑空能力はそのまま引き継がれる。成人した男性は社会的な立ち回りにおいて、歌や演劇への没入が本格化されるが、無邪気で天真爛漫な性格は子供時代のそれからほとんど変わらないという。
- 宗教的生活を営む男たち
成人したネブリャンには男女で明確な役割の違いがある。男性は集団の中では宗教的な精神生活の維持を担当する。男性の生活はそのほとんどが「祈り」と呼ばれる歌劇に捧げられており、一生のほとんどを歌劇の登場人物として過ごす。一般に純粋で、熱中しやすく、頭の回転が速い。自身の生命も顧みず歌劇に没頭できるのは、女性が生活のすべてを担っているからに他ならない。
- 華奢な身体
男性は子供のネブリャンの特性を引き継いでおり、華奢な身体を特徴とする。その羽の色こそ鮮やかに生え変わるものの、滑空能力を失わない代わりに脆弱な骨格を引き継ぐことになった。また、女性と比べて非常に発達した声帯と身体に対して大きな脳を持っている。男性の生活の中心となるのは前述のように歌劇であるが、この身体特性によって原住民ネブリャンに受け継がれてきた無数の舞いと歌を演じ分けることが可能になっている。
- 演技
ネブリャンの男性は多弁だ。人生のほとんどの時間を役者として過ごす彼らにとって、語り引き継いでいくべき言葉はあまりにも多いからだと言われる。常に熱狂状態にあることを求められている彼らにとって現実と虚構の区別は不要なもので、言葉を交わすすべての者に対してそのように(それも、ごく自然に)振る舞うため、ことほかの文明の者にとっては非常にドラマチックで情熱的にさえ見えるだろう。彼らは女性と同じくらいに賢く観察力に優れているが、彼らにとって重要なのはそれが真実であるかどうかよりも、今彼らのおかれている物語をいかにエネルギーの満ちたものに展開させるかなのだ。
- 原住民ネブリャンの伝統歌劇文化における役割
原住民ネブリャンの男性は、原住民ネブリャンの歌劇文化における花形であり、その中心だ。「祈り」とも呼ばれる一連の歌劇は輪のようにつながり、生活に伴って循環しており、まるで彼らの文明の中にもう一つの世界があるような様相を思わせる。構成員の半分を割いて行われる歌劇は時には何日も続くこともあるが、彼らの熱狂は女性の発する音「幕間」の合図によって始まり、そして鎮められる。
特徴の早見表
全体 | 鳥類寄り |
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色 | 様々な色を持つが、一般的に彩度が高く、鮮やかな色合いをメインに持つ。ビビッドカラー。 |
尻尾の先 | クジャクの雄の尾羽に似た、美しく派手な飾り羽根がある。形状や模様などは個体差が非常に大きいが、おおよそ目を引くような特徴的な外見をしている。 |
体格 | 細い体躯で中空になった脆い骨を持つ。よく飛行するものは胸部が比較的筋肉質。 |
顔 | 繊細な顔立ちで、鼻筋が通っている。モデルの男性は睫毛を長く伸ばしているが、本来男女共に睫毛の長さに違いは無い。 |
背 | 平均140cmほど。 |
ツノ | 女性に比べて小さく、一見して控えめな外観である。 |
牙 | 女性より小さい。口を閉じていると見えないことが多い。 |
嘴 | 女性より細く、華奢に見える。女性ほどではないが噛む力はそこそこ強い。 |
脚 | 女性より細く、華奢であり、鳥類の脚に似る。女性のような鉤爪は無い。 |
腕 | 長く大きな翼(風切羽)を生涯に渡って持つ。滑空が出来る。 |
性格 | 基本的に愛想が良く、陽気で気楽な性格をしている。女性と同様に知能は高いが、多弁で口が軽く、良くも悪くも軽率な傾向がある。 |
声 | 非常に発達した声帯を持ち、とても幅広い音域で様々な声や囀りを出すことが出来る。地声も女性に比べて比較的高めである。 |
役割 | 原住民ネブリャンでは伝統歌劇の舞台役者としての役割が生涯に渡って与えられる。都会においては音楽家や芸能関係など、芸術や娯楽を生み出す仕事、あるいは広報などの言葉と情報を扱う仕事に適する。 |
印象 | 美麗な容姿と、口達者で陽気な性質のおかげで大抵の場合は好印象を受ける。表面だけで判断する者からは無条件に良い待遇で扱われ、ゴールドリングに流入した当初からも、女性と違って大いに歓迎された。 |
適職
原住民ネブリャンの文化では伝統歌劇自体が男ネブリャンの社会的役割と密接に絡んでいるため、一生に及んで与えられた役を演じ続ける。
ゴールドリングなどの都会では美しく可憐な容姿、トークスキル、コミュニケーション能力、創作的な発想力、情報伝達能力などを活かした職に就くことが多い。
- 具体例:芸能関係、役者、音楽家、歌手、作家、踊り子、広報、マスコミ、接客、営業等。
容姿の美しさを活かした踊り子や芸能人は勿論、創作性溢れる発想力豊かなセンスから美術関係や作家などに向く。男性特有の非常に発達した声帯と、原住民ネブリャンの文明から代々受け継がれてきた音楽へのセンスのおかげで、音楽関係の仕事は天職である。
頭の回転が早く、多弁である男性にとって言葉を使う仕事もまた適職である。口達者に人を言いくるめたり、おだてて上気分にさせることが得意であるため、接客や営業などにも向く。
言葉を語り継ぐことを伝統としてきた男性ネブリャンは情報の伝達に非常に長けており、広報やマスコミも適職と言えるが、彼らに言葉を語らせるとよりキャッチーな内容に自然と仕上がるため、検証されていなければ話がかなり盛られていることも多い。ここから流行を新しく作る事や発展させること、流行らせることが得意ではあるが、故に風評やデマ、不要な情報としても暴走しやすい。
演技
古来より原住民ネブリャンの文化では男性達による歌劇が社会自体を構成するものとして中軸を成し、演じることは男性ネブリャンにとって人生全体であるとも言え、一生を通して己に与えられた役に就いて技術を磨く。
基本の人格は生涯変わらないが、振舞いに関しては演技と私生活の隔たりが無くなり、やがてプライベートというものが消失する。男性達の演技と美を神聖なものとして扱う原住民ネブリャンの文化において、演技の技術を磨くことにより男性達が神と一体化するものとも言える。
男性ネブリャンは容姿外見共に幼さが残ると言われるが、社会的な立場を得るとシリアスな役目をこなせるだけの技術がつき、単なる子供のようなものとは違ってしっかりした風格が出る。役目を得られないと中身も軽いものままで終わる。高潔さと安っぽさを極端に揺れ動く種族とも言える。
ゴールドリングでは文明の違いからこれが落ち着き、演じるものが「人間の大人」になる。一人一人に正解が無いものとして、正確に演じ切ることは出来ないため死ぬまで生きる事に葛藤し、時に楽しみ、特に苦しみ、そして他の人と関わることで結果的に「自分自身の個性」というものが人生の中で作られてゆく。
創作に関して
歌や音楽、演劇の娯楽に対しては通常「作る側」「提供する側」であり、原住民ネブリャンの文化では男性ネブリャン達による歌や演劇が文化の主軸になっている。大合唱においても旋律の中心を担う。
男性ネブリャンという存在自体が娯楽やエンターテインメントの源という説もあり、ネブリャン流入後のゴールドリングにおいてはレイン歴50年頃、男性ネブリャンの影響によってあらゆる娯楽が爆発的に発展した。
女性ネブリャンとの関係
生命の安全を得る能力の高い女性ネブリャンは、体が脆く容姿や言動も目立ちやすい男性ネブリャンにとって防壁のようであり、男性ネブリャン達はただ毎日気の赴くままに過ごすことで女性ネブリャン達への癒やしになる。
また事実を重んじ、情報隠蔽能力に優れた女性達は、男性達の情報伝達が風評やデマとして暴走することを防ぐ役割がある。
例外的な男性
女性のように地味な色の男性や美しくない男性は、男性ネブリャンとしては劣っている、醜い男性という扱いを受ける。そのような男性はそっと暮らしているが、原住民ネブリャンの文化では歌さえ出来れば劣った外見も個性として認められる。醜い容姿の己を悲観する悲哀の歌なども存在し、そういったものも一定の人気がある。
都会では全く環境が異なるためそのようにはいかないが、「錆の輪」ムーブメントが発生してからは、そのままでは行き場の無い男性ネブリャン達の多くも錆の輪メンバーとして関わることで立場と活動を得る。
また都会において性風俗のために男性器を体外に出すための肉体改造をする者や、アウトリングでの文化に準じ女性ネブリャンのように振る舞う者などもスタンダードな男性ネブリャン像から見れば例外にあたる。
共通の特徴
肥満体と高齢のネブリャンの例。どちらも近代ゴールドリングに住む女性。
他のエルタス人に比べると小柄だが高い知能と器用な手先を持つ。精密機械の組み立ては得意だが、反復作業に弱く、同じものを量産することが不得意。
男女とも胸の中央にやや飛び出た胸骨(竜骨突起)を持つ。サーガルのものと似ているが、ネブリャンのほうがやや低め。
男性は3本の指を女性は4本の指をもつ。男女ともに4本である足の指はサーガル以上に自由に動かせるため、男女ともに足で物を器用に掴むことができる。
サーガルほどではないが物を丸ごと飲み込むのに適した喉をしており、ある程度の大きさの物は咀嚼なしで飲み込める。その一方で、ものを噛み砕くことも得意である。
加齢すると嘴やツノが欠けたり、全身に白髪のように白い羽根が混じる。肥満すると腹よりも胸に肉が付き、鳩胸のような状態になる。
声
女性は低めで、男性は高めの声ではあるが、どちらの性別でも共通して通る声をしている。
口語で話す分には高さ以外にそこまで大きな違いは無い。地声は大体ソプラノ~テノール。
女性の喉は高い声で歌うことや早口で喋ることに向いておらず、地声で話す事が多い。動物的な鳴き声として、小型恐竜に似たけたたましい叫び声をあげることはある。
男性は非常に発達した声帯を持っており、美しい囀りや様々な音域の歌を歌う事ができる。特に原住民ネブリャンの男性は生涯に渡って歌を学び続けるため、より高く美しいファルセットを出せるようになる。
食性
ほぼ肉食性であるが種や木の実などは食べる。主に採集に頼っており、主食は豆類に似たものを食べる。
女性は特に動物食を必要とし、タリクシアン生物の硬質な肉を積極的に捌いて食べる。主に昆虫やネズミ、鳥に似た小動物を食べ、たまに鹿ほどのサイズの獲物も獲る。
男性は果実および芋虫のような幼虫などやわらかい食べ物を好むが、必要な栄養素を除いて食性に大きな違いは無い。
子供
思春期前
全てのエルタス人に共通する特徴として、産まれたばかりの頃は女性も男性も灰色でふわふわの姿をしているが、ネブリャンの場合は2歳を過ぎてもすぐに本来の色に生え変わることがない。
思春期(人間で言う11~12)までは外見面でも内面でも性差がほとんど無く、思春期前までは空を飛ぶための翼が男女ともに存在し、子供達は性別問わず飛行や滑空をして遊ぶのを好む。
女性の足指は生まれつき男性と少し違うが、性徴が出る以前では一見してあまり区別がつかない。
思春期後
原住民ネブリャンの女性。羽根切りの儀式を済ませており、成人している。年齢は12歳ほど。
思春期を過ぎると性徴が現れ始め、完全に性差が出てくる。
思春期に達すると男性は一斉に美しい色の羽根に生え変わる。翼は生涯残るため、滑空能力を失わず、基本的に子供の頃とあまり変わらない。原住民ネブリャンの文化では成人した男性はみな伝統歌劇の舞台役者としての役割を与えられ、様々な歌と演技を一生に渡って磨き上げる。
女性は鈍い色のままだが、思春期以降から女性は風切羽が育たなくなり、やがて自然に抜け落ちることで永久的に翼を失う。原住民ネブリャンの文化では成人式に似た感覚で切る儀式があり、風切羽が無い女性は成人している証拠となる。女性は翼を失い飛べなくなる頃を境として、強靭な体つきに育っていき、社会的にも「大人の女性」として子供時代からは大きく切り替わり、過酷な現実で生きていくことに対面していく。足の鉤爪も思春期に一気に伸びる。
成人に近付くほど男性は骨密度が下がって体が脆くなる。女性はその逆で、このことから体重にかなりの差が出て、必要な栄養も性別毎に異なる。
生殖器
排泄と産卵が行われる総排出腔を有する。
陰茎と呼べる収納式の男性器を有するが、元来は生殖の際であっても体外に出さず、地球における現生鳥類の様式とほぼ同様の交配を行う。睾丸も鳥類同様、体外に露出していない。これらの形態からネブリャンは象徴的には「ペニスを持たない(必要としない)種族」と言うことも出来る。
原住民ネブリャンの伝統的な文化では性的行為を娯楽として行わず、恋愛と生殖が明確に全く異なる役割として切り離されている関係から恋愛感情が性行為に発展する・結びつくことがない。様式の都合上、生殖行為を通じて性的快楽を得ること自体もほとんど無い。
男性器を体外に出す(出せるようにする)ことは肉体改造にあたり、都会の一部の者などが他の種族からの性的需要に応える目的で行う。
女性は数カ月~半年ごとに起こる産卵をし、受精卵の可能性があれば抱卵する。卵は一度に一つ産まれ7~8カ月で孵化する。成人儀礼までは主に女性が世話をする。
ネブリャンと音楽
音楽はネブリャンの文化から切り離す事ができないほど重要なものであり、非常に古い時代より代々受け継がれている。都市部においても多くの作曲家・作詞家がネブリャンから輩出されている。
原住民ネブリャンと都会ネブリャンの民族性の違いと同様に、ネブリャン音楽も故郷と都市部とで大きな違いがある。
- 原住民ネブリャンの音楽…男性ネブリャン達による肉声と、アナログな楽器での演奏がメイン。歌詞や楽譜が存在しない。
- 都会の音楽…様々な種類の楽器があるため演奏できる音楽の幅が広いが、特に主流なのは電子音楽である。また、原住民ネブリャンの音楽と違い歌詞や楽譜が存在する。
後期ゴールドリングにおいて『錆の輪』のメンバーを中心としたネブリャンの音楽家が、都会の楽器(主に電子楽器)で原住民ネブリャンの音楽を再現しようとする流れが発生するが、全てが口頭伝承で受け継がれる原住民ネブリャンの音楽を完全に再現するには至らず、都会で生まれた新世代のネブリャン達の文明と混ざりながら新しい形の音楽として独自に発展していく。
文化
近代ゴールドリング、無線タイプライターまたはポータブルファックスでメールに興じる女性と、窓から話しかける男性。
故郷であるネブリャ地方に生きる原住民ネブリャンと、ゴールドリングなどの都市部に進出して根付いた都会ネブリャンとでは社会的環境が大きくことなるため、文化と民族性もまた全く別の種族と言えるほどに異なっている。
詳細:
育児
育児は通常、責任感が強く、生命力の高い女性が率先して行う。文化様式上、男性は遊んでいることのほうが多いが、小規模な集落などで人手が足りない場合には男性も協力することがある。
乳房が存在しないため、赤ん坊には一旦消化して吐き戻した嘔吐物を与える。都会のネブリャンであれば市販のベビーフードを与える。ベビーフードを買えない程の貧困層の場合だと都会に住む者でも嘔吐物を与えることもある。
武器と戦闘能力
形態面から、狩りや戦闘は女性がメインに行う。
主な武器
都会ネブリャン、主に武装した女性
弓、自動弓、吹き矢、ナイフ、小剣、サーベル、クロスボウ、スリングショット、バックラー等。
原住民ネブリャンの文化では女性は伝統的に弓の使い方を習う。基本的に、男女共に小柄で体軸が細いため、通常は飛び道具を使った遠距離戦を得意とする。
近距離戦の場合は軽めの刃物が基本。大弓はよほど体格の大きな女性でなければ扱えない。
素手の場合(女性)
鉤爪による蹴り、飛び掛りと引っ掻き、噛み付きなどを行う。全体的に深い切傷と失血によるダメージを負わせる。斬撃の属性。至近距離でしか戦えない。
女性の顎はペンチのように強く、噛み付きの威力はサーガルよりも高い。
戦闘スタイル
身軽さと俊敏さが武器。軽い体を生かした高いジャンプ力や、小柄であるため狭い場所に入り込める。一つ一つの動作は機敏であり小回りは効くが、走りの最高速度はサーガルに劣る。アグドナよりは速い。ジャンプ力は身軽ゆえの高さはあるが、単純な脚力によるジャンプ力はサーガルのほうが高い。
持久力や耐久力はエルタス人の中で最も低く、大怪我をした場合の生存率も最も低い。女性は男性よりも骨が丈夫ではあるが、それでもエルタス人の中では最も低耐久である。
生命力の強い女性達は自然や生物に対して対処する能力に長けているため、過酷な自然環境下でもしぶとく生き残ることができるため、アウトリングの者も砂漠での生存率が高い。
都会の者でなければ他の種族と争う機会はほとんど無いが、仮にやむを得ず対人の肉弾戦をする場合は、小回りを利かせての闇討ちや、相手の懐に先に飛び込み、噛み付きやナイフ、足の鉤爪など小さな得物での急所を狙う戦法を取る。ナイフによる切り付け、噛み付き、鉤爪による蹴りはアウトリングの女達の十八番である。
総合して、ネブリャン戦士の攻撃は衝撃による威力はほとんど無いが、弓の精度や刃物による裂傷と失血のダメージにかかっている。
男性が戦う場合
男性は女性と違って基本的に非力である。筋力が発達しないため、扱える武器の種類も女性のそれより少ない。
男性特有の利点として、女性以上に身軽であり、滑空が可能なため、有利な位置を取ったり、敵の同行を確認したり、先に逃げたりする事が出来る。
女性のものまでには及ばないが嘴はそれなりに強力であり、噛み付いて攻撃することもある。そして悲鳴もある意味では武器で、遠くまで良く聞こえるため、仲間の応援や救助を頼むことが出来る。
原住民ネブリャンの文化では男性は武器に触れてはいけないとされているため、戦闘用の武器を手にすることはまず無いが、男性が扱う儀式用の小型の弓が存在するため、弓の扱い自体を学ぶことはある。射撃精度は女性とほぼ同じ。
都会ではネイティブと違って伝統文化による制約が無いため、ナイフなど男性の筋力でも扱える武器を護身用に所持していることがある。用心棒や商売人の護衛のネブリャンには男性も時々いるが、大抵は後方援護がメイン。
ギャラリー
女性
ゴールドリングに住むネブリャンの女性。
男性
関連項目
余談
名前の由来は「Raven」のアナグラム。新設定において最初にネブリャンとして描かれたキャラが矢桐ゆんで、更にその当時は男女の外見さが現在のように明確に分かれておらず、ゆんも鳥に近い体格をしていた。
モチーフに関して、デザインにおける生物要素としては鳥類と羽毛恐竜ではあるが、全体図や風貌としては「妖精(ドワーフやホビット)」と、「宇宙人」という要素もある。特に、羽毛の無い姿はグレイタイプの宇宙人を彷彿とさせる風貌になる。
概念的な要素としては「人形」や「二次元(主にアバターなどの『架空の肉体』を示す)」もあり、これらは特に男性ネブリャンの性質に顕著。
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