ゴールドリング

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近代のゴールドリング都市内。サーガルアグドナネウリアエルタス人種の他、一部のタリクシアン生物の姿も確認出来る。

ゴールドリング(Gold Ring)とはコルビロウス塩湖の沿岸にある巨大な港都市群。沿岸沿いに三日月形に数都市が分散しており陸路または船舶によって結ばれている。

黄金の都とも呼ばれる惑星タル南部最大の都市でもあり、戦前まではサーガルアグドナの二種が動かす都市であったが、近代ではタル内にいる知的生命体の種族全てが集まっている。漠然と「都会」や「都心部」という表記がある場合、大体はゴールドリングを指す。

ゴールドリング日常漫画シリーズでは近代における生活の一部が描かれている。

文化

約400年前南方サーガルアグドナの共生を基礎にして生まれ、古くより砂漠渡りを専門とし、コルビロウス塩湖とセイルザーンから産出される塩を交易品として持つ。

時代の経過とともに優れた自治体制や道徳、技術、文化、商業を発展させながら現在に至る。

物資は豊かで各地の交易品が集まり、他の地域に比べ裕福な暮らしをする者が多い。

特に東部レオノ地方とはゴールドリングからの延長を元に古くから盛んな交易が行われ、生きた生物や生物由来の素材を多く仕入れている。南部は元々生物が少ない場所である関係もあり、生物に絡んだ資源の仕入れは東部との交易無しでは成り立たないと言える。

戦前までは西部との交流も祭日に限って存在し、ベトラ地方のネイティブネウリア西方サーガル達が数年に一度催しに訪れていた。その当時はネウリアというと単に「催しの日に来る美しい人々の多い歌劇団の人」として知られているのみだった。

野生のタリクシアン生物から守られているため安全であるが、生活密度が高く人が起こす事件は比較的多い。

地域

ゴールドリングマップ(暫定)

地域によって経済格差や、異なるローカルルール、専門とする機関の違いなどは細かに様々ある。

中心部に居住したり店を構えるためには住民登録が必要であるが、郊外のセイルザーンのほとりに至っては耕作や建築もほぼ自由。

塩湖北部の沿岸付近にある「旧」という場所には惑星タルの極南にある建物が一つだけ存在するが、内部は謎。

中心街

ゴールドリング中心街の首都官庁

都市北部に位置する。

ゴールドリング創始当時から存在し、ゴールドリングの中心機能が大凡集中している。

巨大な一枚岩をくりぬいた古建築街と寺院、沿岸のエルタス保護林と大庭園などがあり、遠方から訪れた行商人や旅行者を楽しませる。

政府の施設や庁舎、ジュダや貴族、官僚が暮らす地区もこの辺りに集まる。

人種

戦前のゴールドリング、住民として存在するエルタスはサーガルとアグドナの二種。第三話『縁日にて』より。

近代ではエルタス三種族に加えて一部のタリクシアンも住民として存在するが、戦前まではサーガルアグドナの二種によって構成される場所だった。

南東間で行商人が行き来する関係から、東部からやってきた者も住民として多く混じっている。

南方種東部の混血種が混在するサーガルの市民はアグドナの市民よりもいくらか多いほど。

ネウリアは戦中に西方サーガルの生き残り数人と共に難民してくる形で根付いたが、しばらくはゴールドリング内の正式な人種として認められていなかったことや、様々な理由(ネウリア都会ネウリアの項目内で記述)により、偏見を持たれるなど差別的扱いを受けていた他、違法な丸呑みショー(後述)の獲物として見世物に使われるなど命をも軽視されていた歴史をもつ。レイン歴70年以降にネウリアが正式にゴールドリングの新しい人種として法で認められると徐々に緩和していく。

中心部に住む貴族はサーガルとアグドナが主で、ゴールドリング創始当時から続く血族である。サーガルの貴族は特徴的な茶色い毛皮をもち、貴族同士の結婚・近親交配を繰り返しているためか細身で小柄。サーガルは古代にセイルザーンに分散していた数部族、アグドナはマゴイシタの周辺から来た数部族がルーツであるといわれている。

恋愛

恋愛に関する事柄は人種が多いために、他害性が高いもの以外はバリエーションに寛容である。

アグドナサーガルのカップルはこの二種がこの都市を作り上げてきた歴史的背景からほぼ当然のことであり、この二種の共同家族・異種間愛はごく当たり前にある。

またエルタス人は異なる種族同士で子をもうけることができないため、同性愛が問題視されることは基本的に無い。

娯楽

伝統的なものまたは行商人が持ち帰った品や遠方での体験談や噂話は古くから人々の楽しみである他、様々な玩具、紙芝居、スポーツなどが発展していった。

タリクシアン生物を使った賭博は古くからあり、闘技場で人と戦わせることもある。

レオノとの交易を通じて入荷する、マゴイシタなどの森の原生生物を用いた見世物は野生動物と縁が薄いゴールドリング市民にとっての魅力的な娯楽であり、人がそれらと戦うまたは生物同士を戦わせる様子は特に催しの目玉となる。

食芸人」達による食に関したショーも根強い人気があったが、一部の内容は時代の変化に応じて大衆の場からは消えることとなる。(後述)

巨大生物を解体する様子は職人のパフォーマンスも練り込まれ、分けられた部位の競りには一般客も参加し、娯楽も兼ねる。

レイン暦50年以降ネウリアが文明に参加し始めてからはさらに音楽や演劇など華やかな文化が大きく発展した。

祭り

海神祭りの様子。第三話『縁日にて』より。

大きなものでは海(コルビロウス塩湖)への信仰に基づいた縁日に催される祭りがある。戦前までこのような祭りがゴールドリング全市民にとっての大きな楽しみであった。

当日には様々な屋台が出店し、非常に華やかになる。屋台では綿菓子に似たもの、リンゴ飴に似たもの、イカ焼きに似たものなどが売られる。

屋台や闘技場での競技を楽しむ他、沿岸から数キロほど先の小島にある海神神社に参詣することも通例。

古くから人々に愛されていたが、戦争が始まると交易ルートが破壊されるため催しに使う野生動物を仕入れることが出来ず、戦争終結からしばらくに至るまでは当分開かれなくなった。

戦争終結後間もなく、祭りのいち早い再開を望む人々が総出でレオノ方面へ駆けつけ復旧に取り組むおかげで、南東間の戦後再建は非常に急速に進む。

漫画第三話『縁日にて』では戦前の祭りの光景が描かれる。

闘技場

縁日でのゴールドリング闘技場。第三話『縁日にて』より。

祭りや催しの際に利用される巨大な闘技場。

祭日においてはレオノとの協力の元で行われる様々な催しがその日の目玉となる。

戦士達とタリクシアン生物との戦いを見せるショー、「食芸人」による大食い大会やパフォーマンスが定番。

西方からやってくるベトラ音楽団の歌劇は、距離の関係から数年に一度催される。

生きた生物を使う催しでは凶暴な生物や巨大な生物を扱うため、大抵の場合は怪我人が出る。最悪の場合は死人が出ることもある。

闘技の内容においてはゴールドリング・レオノの双方から出場者が参加するが、主に生物と戦うのは優れた狩人の多いレオノ側からで、ゴールドリング側の人々は非常事態における会場の脱出経路確保や、生物をひるませるための塩水撒きなどサポートスタッフに回ることが多い。

丸呑みショー

大盛りの食品や、大小様々な生きた動物を丸呑みする光景を見世物として催す。

戦前までは食芸人が行うショーの一環で、丸呑みに限らない大食い早食いの競技や、料理人の料理ショーとも同列に行われており、祭日の催しには欠かせないものであった。

行うのは主にサーガルタリクシアン・ストーカー。戦後からはネウリアも参加する。

古くから存在し、特に娯楽の少なかった戦前は尚更大衆的な人気があった。

戦後、「丸呑み」という行為はレイン将軍の影響や、他の娯楽が増えて追いやられる等の理由で地下劇場化する。

それまではマグロの解体ショーなどと等しい感覚だったが、レインが子供を食べるという話の影響によってフェティシズムを含むものになり、水面下で嗜まれるようになった。

戦後も呑み込むものの内容は戦前と大差無いが、中には(主に小柄なネウリア)が被害者になる違法なショーも存在した。

宗教

「黄金の輪」という太陽信仰がある他、海(コルビロウス塩湖)に由来する海神信仰がある。

お祈り

海神様にお参りをする子供達。第三話『縁日にて』より。

海神神社での参詣の際、

「僕らのゆめによい潮の導きがありますように」

という祈りの言葉と共に一礼が行われる。

『ゆめ』とは寝ている時に見る夢や将来の夢とは異なる意味合いで、生活や日常によって規定された「夢」とは繋がりの無いもの。

中枢にある意味は「ものがあることより、それを受け入れる余白が変わらず巡ってくることを望む」ことで、「明日も食べ物にありつけますように」というよりも「明日もちゃんとお腹が空きますように」と祈るような感覚に近い。

言わば「目覚めた幻想」のようなもので、具体的には毎朝すっきりと起きることのような、「新鮮さのリセットを日常として行えること」に重点に置いている。

神話や言い伝え

太陽や海(塩湖)にちなんだ神話や言い伝え。

ビロウス(太陽)の姿見

太陽神が己が姿を確かめるため太古の湖を作り、神の映し身としてはじめの生物が湖から生じた。生物の糞から大地が生じた。全ての水・風・塩が塩湖から生じる。水は深い影のもとに初めからあったので、混じってひとつになる性質をもっている。神の映し身であるはじめのさかなが目を覚ますために海水のしみる痛みを用いた故に人間も傷に塩を塗ると傷むといわれる。塩の痛みによって皮膚が生じ、感触やにおいを感じるようになった。皮膚によって他者が生じた。

人間
 伝説のなかで、元々一種類であったエルタス人の身体は三種類に分断された。はるか昔に人が強い力を身につけ他の生き物の棲家を取り上げていったため、全ての命を含むという人の形を失い不完全な姿に身を落としたといわれる。 -さまざまな種類のものによってその身体はつくられていたのです。魚や鳥やけものたちが姿を消し、市場にはほんの数種類しか並ばなくなりました。そういうことでしばらくすると、人々の姿は不思議と魚や鳥やけものに似たものになりました-

サーガルの言い伝えや風習
→身体の魚
-食べられた魚は身体の中で一度とけて今度は手足のほうへ生まれ変わる、それでまた元気に泳ぎ続けるんだから人間は走ったり跳ねたりできるのだ。-
→眠り舟
サーガルの文化では舟を模した寝室やベッドで眠ることが多い。眠りによって心は塩湖の水底へ戻り、太古のビロウスの陽の記憶をきくという。

アグドナの言い伝えや風習
はじめの祖先が土くれから作られたと言い伝えられている。土くれのなかにとがった石があったので、それが頭に硬い角を、手足にひづめを生やした。

政治

ゴールドリングの警官、GR自警団。左からアグドナ、ネウリアの女性、サーガル。
GR自警団の旗

政治体制に関しては大統領のような国家元首はおらず、貴族たちによる合議制であり、レイン暦70年以降には都市象徴として「ジュダ」制度が始まった。

また、直接政治に係わることはないがタリクシアン・ルーターは特殊な立場にいるため、求められれば意見することもある。

貴族達はゴールドリング創始当時からのアグドナサーガルの憲法を保証し問題や危機が起これば会議を行ない、敵性生物や都市設備問題にはGR庭師組合が、犯罪や外敵侵攻にはGR自警団が現場にあたることとなっている。

緊急時を除いた市民生活に係る組織的な運営は戦後に大きく発展した。それまでは旧式のゆるやかな制度から成り立ち、ほぼしきたり的な互助作用に頼るような、法が確立されているとは言い難い状態が長く続いた。

人権

ゴールドリング都市憲法は戦後しばらく(レイン歴70年以前)までサーガルアグドナの相互利益のため補助的に人権と財産に関する法が存在していた。

レイン暦28年頃急激に移民流入したネウリアに人権がほぼ保証されていない状態だったため、彼らに対する法外な扱いが横行し、レイン歴70年以降に一部改訂され、ネウリアを明確に第三の人種として認め、更にごく一部のタリクシアン・ストーカーにも適用されるようになった。

タリクシアン・ルーターについてはゴールドリング議会と全ルーター間に特別協定が設けられている。

裁判と刑罰

以前は比較的治安が安定していたが、レイン暦40~50年以降には殺人、窃盗、強姦など明確に禁止されている重犯罪が頻繁に発生するようになり、取り締まりが追いつかなくなった。

自警団により逮捕されれば法により罰せられるが、治安の悪いところでは取り締まる前に主観的な制裁や戦闘で正当化されることもある。

重罪人は新しいタリクシアン系食品の毒見に用いられ、死亡するまで人体実験の被験者として拘束される。もしくは「ケフ流し」として数日分の水と食料などとともに南方の不毛地帯に置き去りにされる。

貴族や古くからの住民、公職の者、共同住宅に住む者以外は独自に新規の申請手続きを通さねば住民登録がされず、ただ生活するには大きな問題はなくとも、争いが起こった時に居住地が都市部から遠かったり単に手続承認に時間がかかり、登録のない故に裁判で不利になるといった問題も起こっている。

ギャラリー(近代)

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